青森の四季

都会に住んでいた頃は感じませんでしたが、青森の冬はとても長く感じます。寒いし雪かきもしなきゃいけないしで、田舎に住み始めた頃は気が滅入り冬は好きな季節とは言えませんでした。

それでも10年ほど住んでいれば天気や四季の移り変わりに敏感になり、自分なり合わせられるようになってきました。天気が崩れそうだから午前中に用事を済ませておこう、買いものもついでに…といった具合に。人間って慣れてくるものなんですね。

葦毛崎展望台とハマナス

私の住んでいる青森県三沢市は青森県の太平洋側で南部地域と呼ばれています。南部は津軽よりは雪は少ないですが、夏は6月から8月にかけて冷たく湿った北東の風が吹きます。ヤマセ(山背)と呼ばれる偏東風の影響で初夏なのに肌寒いといった環境が特徴です。

ちなみに青森県の真ん中にある八甲田連峰を挟んで反対側を津軽地域と呼びます。言葉も文化や食べるものも別の県かと思うほど違います。私は津軽にもよく買い出しや遊びに行くので、その度に向こうの美味しいものを食べたるのが楽しみになっています。

暮らすには正直厳しいところもありますが、それにも勝る魅力があると思っているので10年も住んでしまっているんですね。それは都会では見られない美しい景色だったり、私の知らない文化や地域性のある丁寧な手仕事だったり。その中で私が特に惹かれたのが南部菱刺しと津軽こぎん刺しでした。

資料が少ない刺し子の技法。粗い麻の目を風を通さないように塞いでいくのは、この地域で無くてはならないものだったのだなと住みながらしみじみ感じています。ゆっくり作品を作れるときは、あの景色をイメージして作りたいなぁ…そういえばあの花が咲いてたから差し色に使えないかな…とかぼんやり考えながら作っています。

数年前までは一番好きな季節は秋でした、晩秋の紅葉がそれは見事で毎年感動していました。今はというと、一番好きな季節は春かも?と思い始めています。何とも言えぬ高揚感が春にはあって、南風が吹くと外へ飛び出したくなります。

地元のおじいちゃんやおばあちゃんも春が一番好きだと言います。山はどうなっただろうか、今年は山菜はいつ頃採れるようになるか…なんだかわくわくしてしまうのだそうです。

彼岸じゃらく(お彼岸の頃に降る湿った重たい雪)もあったし、これから本格的に春に向かっていきます。私も山菜の本を見返してあれこれ準備をしておかないと。東北の春はとても忙しいのです。

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