過去に行った展示会の様子もブログに書き留めておこうと思います。道の駅みさわ斗南藩記念観光村で2021年の8月に開催された巡回展示【ふるさとの宝物-県立郷土館コレクションー】では、こぎん刺し2点と菱刺しの前垂れ1枚が展示されていました。
染めこぎんとバオリを被ったマネキンが奥の方に展示されていました。まさかここで前垂れが観れるとは!長くなってしまうので前垂れの話は後半にします。
現在改修工事中の青森県立郷土館ですが、県内の巡回展示をされてたんですね。着物だけでなく広く浅く青森県の資料が展示されており、昔の食事や今はなき「小川原湖民俗資料館」の写真パネルもありました。(左のぼろを継接ぎしたものは「どんじゃ」と呼びます。)
こぎん刺しと菱刺しの刺したサンプルやカラフルな「ずぐり(木製の独楽)」も。雪の上で回す「ずぐり回し」は津軽地方で今でも親しまれています。模様が綺麗ですね、名前があるのかな?
こぎん刺しの着物は細かな模様と工夫が見られる一品です、上手な刺し手さんだったのでしょう。下側の5本の止めの模様が2目になっています。
拡大したもの、やっぱり2目ですね。その上を見ると…アウトラインステッチのような工夫がされています。細かい!!近くから見るとちょっと強調気味かと思いますが、離れてみると刺していない部分とのコントラストがあり、まとまって見えます。
気になる菱刺しの前垂れは裏表が逆でした。後で聞いた話ですが、裏側の方が綺麗だったので元の色を見せる為にわざとそうしていたのだそう。なるほど!!刺し手としては逆に裏側が見れてありがたかったです…きっと他の方もそう思うはず。笑
一人ブツブツ言いながら考察スタートです。個人的な感想みたいなものなので、盲信しないでくださいね。「こういう所を観ているのね~」と一緒に楽しく鑑賞していただければ嬉しいです。
全体の構成は「井桁」で黒の「きじのあし」で刺しています。浅葱色の麻布に毛糸を使用したと思われますが、代表的な型コ(模様)をカラフルに盛っています。前垂れの下の部分に藍色の綿布が当てられています、これは新しめの前垂れかな?
下腹の部分が黒の「たてあやすぎ」が珍しい、そしてたてあやすぎの間に3段線を入れているところに工夫を感じます。帯の部分に隠れてしまいがちですが、ここにも線を見ることができます。帯の絣は雪ん子。
下の写真からは毛糸のふっくら加減を見て取れます、ちぎれやすい毛糸でここまで刺すのは大変なことです。よく見ると糸の処理の方向も分かりますね。
飾りの糸は角をアールを描いていて、前垂れの両サイドの布は縁取りの加工がきれいに処理されている。やっぱり新しいものだと思うけど不思議。新しめだけど丁寧な仕立て…刺し手はどんな方だったのでしょう。
今回も参考になれば嬉しいです、ありがとうございました!
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