菱刺しの模様について

菱刺し

南部菱刺しには約450種の模様があり、現在も魅力的な模様が増え続けています。民具や動植物をモチーフにしているそうで「梅の花」「雉の足」「べこのくら(牛の鞍)」など可愛らしい名前がついています。

このブログでは初心者の方にも分かりやすいように模様と伝えてきましたが、本当は「型」「型コ(カタコ)」と呼ばれています。ネイティブのおばあちゃん達は「型ッコ」と言っているよう。「(ッ)コ」は可愛らしいものによく付けられます。「べこっこ」「あめっこ」など。

梅の花

「梅の花」は菱刺しを代表する型コのひとつです。このように横長の菱が連続する模様を「型刺し」と呼びます。前垂れや着物によく使われていました、たっつけ(昔のスキニーのようなズボン)にも刺されていましたが数はとても少ないです。

梅の花にはバリエーションがありますが、こちらの梅の花には四つ角にある小さな菱があり、「つぼみ」を表しています。このつぼみがないものを「クンショッコ」と呼びます。カタカナにするととても分かりにくいですが、「勲章ッコ」ということなんでしょうね。なぜこのような名前が付けられたのかは分かっていません。※分かる方がいたら教えてください。

若い人がつける型コで、糸の渡りが多いことから引っかけやすく前垂れには向かないとも本で読んだことがあります。実際には使われているものもあるので、向かないだけで作ってはいけないという事ではないと思います。

すすきたばね

菱刺しは主に偶数で刺しますが、中には奇数の模様もあります。先程の型刺しに対しこちらは地刺しといい、主に広い面積を刺すときに使われる丈夫な模様です。地刺しには奇数と偶数があります。地刺しはネイティブの発音だと「ヂザシ」と言っているように感じます、「ジザシ」ではないような…。皆さんの周りはいかがですか?

竹の節

菱刺しは主に偶数、こぎん刺しは主に奇数で刺しますが、菱刺しなのに奇数のものやこぎん刺しなのに偶数のものもあります。区別が難しいですが長く刺していると区別がつくようになってきます。ただ、共通の模様があることも認識しておいてください。「竹の節」や「亀甲」がそれに当てはまります。

近年、Instagramなどで菱刺しにこぎん刺しのタグが付いていることがかなりあります。共通の模様だったらどちらをタグ付けしても間違ってはいないのですが、型刺しに思いっきりこぎん刺しのタグがついていると、違うんだけどな…思って見ています。自分も気を付けていきたいです、みなさんもお気を付けください!!

今回は模様について「型刺し」と「地刺し」があることをお伝えしました。沢山模様が刺せるようになると楽しくて仕方なくなります。自分で作る創作模様も作れますが…結構難しいです。

偶数であれば菱刺しなのかというとそうではないし、奇数を沢山使うと菱刺しらしくない。抽象的な幾何学模様が菱刺しの醍醐味でもあるので、可愛いからりんごの模様!とストレートに表現し過ぎると野暮ったい。流行りの北欧風、オルテガ柄風はものはインスパイアされるのは良しとして「北欧風、オルテガ風」とつけるのはもはや菱刺しではないのでは…。

私も北欧雑貨もオルテガ柄のブランケットも好きで持っていますし、街中のタイルの模様やアジアの布にもインスパイアされます。でも模様を考える時は「これは菱刺しらしいだろうか?菱刺しの延長上にあるだろうか?」と一度立ち止まって考えるようにしています。昔の女性たちが残してきた模様を大事に伝えていくことも忘れずにいたいですね、今私たちがこうやって楽しめるのは昔の人達のおかげですから。

何はともあれ図案を作るってとても難しいですね…。迷いながらいいものを作っていきましょう。今回もお役に立てれば嬉しいです、ありがとうございました!

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