菱刺しとこぎん刺し

菱刺し

北国で生まれた刺しの技術

昔、綿花の育たない北国では木綿の衣服は大変に貴重であった為、農民は自分達で栽培した麻から麻糸を作り地機で平織りの布を作ることで衣服を賄っていました。出来た麻布は固く目が粗い為、厳しい北国の冬や重労働ですり減る野良着をなんとか暖かく、厚く丈夫にするために発達したのが「刺す」技術です。

南部菱刺し

「南部菱刺し」は青森県の南部地方に古くから伝わる刺し子の技法です。主に三戸・五戸・七戸・八戸・三沢・東北町で刺されていたと言われています。菱刺し(以下略)は偶数律(2.4.6…)で拾って刺していくのが大きな特徴で、出来上がった模様は横長の菱型になります。また、色糸を多用したカラフルな色彩も菱刺しの特徴のひとつで、前垂れ(エプロン)が南部菱刺しの代表格となります。いつから「菱刺し」と呼ばれていたかは定かではないようですが、200年くらい前にはすでにあったとされています。

津軽こぎん刺し

また、青森県には「津軽こぎん刺し」もあります。こちらは青森県の津軽地方に古くから伝わる刺し子の技法で、主に経糸を奇数律(1.3.5…)で拾っていきます。出来上がった模様は縦長の菱型(トランプのダイヤモンドのような形)になります。濃紺の麻布に白い綿糸で刺され、「流れ」や「囲み」などの技術を用いて模様を大きく展開していくという特徴があります。

菱刺しもこぎん刺し(以下略)も平織りの布の目を数えて様々な模様を作ることから混同されることもあるようです。こぎん刺しの中にはそろばん刺しという偶数を使用した模様もあり、必ずしも奇数偶数などの糸目のみで判別が初心者には難しくなっています。

初心者向けの区別の仕方

上記で説明した「南部菱刺し」と「津軽こぎん刺し」、そして山形県庄内地方の「庄内刺し子」の3つが日本三大刺し子と言われています。青森県内でもまだ二つの違いについて知らない方も多くいるので、はじめは模様が縦長か横長かが一番見分けやすいポイントとなります。

慣れてきたら生地の色や刺している素材や色味も参考にすれば、大体の物が識別できると思います。最初は間違っても大丈夫です、少しずつ違いについて分かってくるようになります。違いが分かるようになればまた楽しいですよ。

※ここでは初めての人にも分かりやすいように刺し子という表現にしています。

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